2022年を迎えて
今年もお天気に恵まれた新年を迎えることができました。
昨年は職員がこうしたい、こうありたいという意見を集め、中長期プランを策定しました。それが具体的に形になっているところもあります。昨年10月にはサービス拡大・ヘルパー増員を目標にやすらぎが事務局より近い関内大通り公園沿いに事業所を移転しました。また、高齢化をより意識した新しいグループホームの申請を市に行うこともできました。
利用者さんへのサービスでも朗報がありました。30年以上の社会的入院をされていた方を地域移行で恵友会のグループホームにお引き受けしたのが12年程前。作業所にも通所するようになり、その後旭区のピア活動で踊りのD-1グランプリや恵友会の様々な場で創作舞踊(女形)を発表してきました。昨年度そのD-1グランプリでグランドチャンピオンになったのを機に神奈川芸術劇場のスタッフが密着し、利用者さんの半生をドキュメンタリーとしてプロのスタッフによる収録を行い、ある共生共創通信の特集や映像制作&配信されることとなりました。彼の生きた証が作品となり、今後この作品が「R65全国どきTuberコンテスト」に応募されるようです。
この話を聞いた時、恵友会の原点がここにあると思いました。地域に行く場を失っている精神障害者を受け入れ、その持てる力を掘り起こし、その方らしい生活を支えていくことです。30年以上の社会的入院をされた患者さんを地域に出そうとした主治医や病院のワーカーさんの決断、その方を受け入れようと決めた恵友会職員の覚悟と支援力に拍手を送りたい気持ちになりました。中長期プランに掲げた4つのビジョン「利用者の可能性を引き出す」「今までの在り方を見直し、新たな支援に結び付ける」「利用者さんらしい生活」「安全安心に地域で暮らす」が70歳を超えたこの利用者さんの半生から感じ取れました。こうした1人1人を大切にした支援を行っていきたいのです。
やすらぎの相談室に「葡萄の木」の絵があり、これを見ると恵友会の事業を想像します。葡萄の木から伸びた枝葉がぶどう棚に拡がり、その先端には豊かな実が実ります。太い1本の幹は恵友会の理念「こころ病む方々と共に安全に安心した暮らせる社会づくりを目指す」であり、枝葉は13ある施設で、それぞれが拡がり、その先に利用者さんである葡萄が実ります。どんな葡萄が実るのでしょうか。甘いぶどう、よく陽にあたり色づきがよいぶどう、少し虫に食われてしまった葡萄でしょうか。
豊かな味の濃い葡萄であるために職員は手間をかけ育てていきます。
今年も理念とプランのビジョンを意識して支援に励み、「その時、その場所で、その人と」向き合う対人サービスの基本を忘れずに進んでいきたいと思っております。
法人として組織強化、働く環境整備、様々な規程の改正、人材育成等山積している課題にも取り組んでまいります。恵友会が一丸となって、チーム力をつけ進んでいく1年でありたいと思っておりますので今年もご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
2022年1月
理事長 坂口 育子
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